法令・条例情報

塗料と法規制

記事掲載日:2012-11-01
欧州REACH規則のあおりを受けて、最近は化学物質を「物質」、「混合物」、「成形品」の3通りに分類することが一般的になりつつあります。

塗料は「混合物」の典型で、通常は数種類の溶剤と顔料が混合しています。
そのため、塗料には溶剤に関する法規制と顔料に関する法規制が適用されることになります。

本年2月、一部の顔料*)が非意図的にPCBを含有していることが判明したため、
顔料を製造する当該事業者に対して、当該有機顔料の製造、輸入及び出荷を停止するとともに回収するよう指導したことが経済産業省から通知されました。

*) 顔料: 着色に用いる粉末で水や油に不溶のものの総称

このような場合、事業者の対応には法的な対応、お客様への対応、CSR上の対応、の3種類があります。
事業者に法的に求められることは、経済産業省からの通達に従って、
顔料メーカーから回収依頼がきたら協力することだけです。
それ以外のことを化審法もPCB特措法も行政からの通達も求めていません。ひとまず安心です。
一方でお客様への対応として生じうることとして、自社製品に使っている顔料が「非意図的にPCBを含有している」に該当するかどうかの調査をいただくことがあるかもしれません。
RoHSやREACHなど昨今の製品含有化学物質規制を受け、
このような調査に慣れておられる方も多いかもしれません。
しかしながら、いかに慣れていても複数のお客様から異なる様式で調査をいただくのは時間と人手を費やす作業です。
またCSR上求められることとしては、自社製品が当該顔料を使っているか調査し、
使っていないことが判明したとWeb上で公開するなどがありますが、
前述のように人手と時間がかかることに御留意ください。

ところで、全ての「非意図的に含有している」状況が法規制の対象となる訳ではありません。
経済産業省からの通達でも「国際的な基準値(50ppm)を超えるおそれがある有機顔料の出荷の停止及び回収を指導する」とされています。
すなわち50ppm未満であれば措置の対象外です。
これはストックホルム条約がPCB濃度50ppm以上を規制対象としていることが根拠になっています。
これより低い濃度は「主要国規制においては、PCBの製造、使用等に関して微量の非意図的生成は対象外となっている」と経済産業省は説明しています。
また経済産業省が「本有機顔料が既に出荷され、塗料等の成分として使用された場合には、顔料段階の濃度が10倍以上に低減されます。このため、その使用を継続しても問題は生じないと考えます」と説明しているように、過剰な心配は無用とお考えいただくのが適切です。

(略語)
化審法:化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
PCB特措法:ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
ストックホルム条約:残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約
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記事番号:18

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